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権利取得までのプロセス
特許権、実用新案権、意匠権、商標権の取得までのプロセスと各プロセスで発生する平均的な費用をフローチャートでわかりやすく説明しております。下のボタンをクリックしてご参照して下さい。
例えば、特許権は、次のようなプロセスを経て付与されます。
0.調査
特許権が付与される発明には、新規性,進歩性が要求されます。すなわち、その発明が未だ世界で知られていない発明であること(新規性)、出願時に知られた発明から当業者が容易に思いつくような発明ではないこと(進歩性)が要求されます。従いまして、出願前に新規性及び進歩性を満たす発明であるか、価値の高い特許が取得できるか否かを見極め、出願を進めるべきか検討します。
下記リンクの「特許情報プラットフォーム」から関連する従来技術の公報を検索できます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/doc/sitemap.html
1.出願
特許出願するためには、書誌的事項を記載する願書や、発明の内容を説明するための明細書や図面等の出願書類を作成し、特許庁に提出する必要があります。
特許権の範囲は「特許請求の範囲」及び「明細書」の記載等に基づいて判断されます。「特許請求の範囲」は土地の境界線のようなものです。「特許請求の範囲」及び「明細書」は文章で表現され、この文章の内容によって、特許権の範囲が解釈されます。すなわち、文章表現によって、「ここからここまでの発明は私の権利です」と主張できる範囲を確定します。広すぎる「特許請求の範囲」は、新規性及び進歩性がない範囲を含んでしまい、審査過程で妥当な範囲に狭めることを求められます。
しばしば生じる特許の範囲に関する争いは、主として、この明細書の記載に基づいて「境界線」を確定する作業です。特許請求の範囲で用いた用語の意味を技術事項を踏まえて客観的に確定する作業です。例えば、特許権者側は「境界線」を広くしようと主張し、訴えられた側は自己が実施する商品が「境界線」の中に含まれないようにするために、狭く解釈させるように主張します。 そして、特許権者側が勝った場合には特許権から大きな価値を得ることができ、負けて「他人が実施する商品」が「境界線」の中に含まれないと判断された場合には、当該商品に対しては特許権の価値はなくなります。
従いまして、新規性及び進歩性を確保できる範囲を見極めるとともに、先の争い等も予測しながら、強い権利を取得できるような明細書を作成することが重要です。
2.審査
特許庁の審査を受けるためには、出願日から3年以内に特許庁に審査請求料を支払い、審査請求をする必要があります。
審査請求後、通常、1.6~2年程で審査結果である、最初の拒絶理由通知が送達されてきます。出願人は、この拒絶理由通知を解消するために、特許請求の範囲を補正をしたり、審査官の拒絶理由に対する反論をする必要があります(補正書、意見書提出)。書面によるやり取りだけでは、審査官の意図が理解しにくかったり、出願人の考えを充分に伝えきれない場合には、審査官に面接審査を依頼することもあります。
そして、このような審査官とのやり取りを経て、審査段階の結論である「特許査定」または「拒絶査定」が出されます。
3.「特許査定」が出た場合
特許権設定登録料を支払うことにより特許権が登録されます。なお、特許権が設定されても、特許公報発行から6か月間、第三者がその権利の成立に異議を申し立てる機会を与える、異議申立制度があります。
4.「拒絶査定」が出た場合
審査官の判断は1名の審査官の判断であります。審査官の判断にも誤りがあるという前提のもと、特許庁では「拒絶査定不服審判」をいう手続きが容易されています。「拒絶査定不服審判」を請求して補正した場合、補正の内容で特許できないかを審査官が再度審査する「前置審査」に係属し、この段階で特許できると判断された場合には「特許査定」が出ます。一方、補正によっても特許できないと審査官が判断した場合には、「審判」に係属します。「審判」は3名の審判官の合議により、審査結果の妥当性が再度審理されます。そして、審理の結果として、「取消請求を認容する」、「取消請求を却下する」との「審決」が出されます。
また、行政の判断である拒絶審決に対しては、司法の場である、知財高裁の審決取消訴訟において、行政機関である特許庁の判断は適切であったかを争うことができます。